phys

量子物理学の正統教義

Schiff,Bjorken-Drell,Peskin-Schroeder と,量子物理学の正統教義は Stanford で継承されてきた.

大野克嗣『非線形な世界』東京大学出版会 (2009)

『ラッセルパラドックスを避けるために標準的公理系では a ∈ a が生じないように,'正則性の公理' というものを置く』と書いてあったのでがっくりきた.著者のサポートページに訂正がある. http://www.yoono.org/NonlinearWorld/ding_zheng.html

小川岩雄『原子と原子核』共立出版 (1990)

著者は湯川秀樹の甥.海軍兵学校教官時に江田島で広島への原爆投下を目撃.立教大学原子力研究所の所長もつとめた.

LCAO 法

Hamiltonian の固有関数 を,1次独立な波動関数 の線型結合で近似したい. とすると, の場合を考える. とすると, とする. とすると,これは の2次関数で, 0.">したがって, の係数を比較すると, Wolfsberg-Helmholtz の関係式 より, に注意すると.

池内 了『自然を解剖する』NTT出版 (2008)

密度と大きさの両対数グラフにプロットすると,自然界には次の3つの系列があることが見て取れる. 密度 1 g/cm3 の系列.電磁相互作用. 密度 (10^5)^3=1015 g/cm3 の系列.強い相互作用. Schwarzschild 半径/質量 による直線(密度 ∝ 大きさ-2)の手前に…

秋葉 康之『クォーク・グルーオン・プラズマの物理』共立出版 (2014)

弱い相互作用は,ベータ崩壊を起こす重要な力である.この相互作用はW粒子とZ粒子という陽子の100倍近い質量をもった重い粒子によって媒介される.重い粒子の到達距離は短くなり,その結果,相互作用の見かけの強さが弱くなる.弱い相互作用が弱かった主な理…

神吉 健『クォーク・グルーオン・プラズマ』丸善 (1992)

isbn:9784621036891 グルーオン ループの反遮蔽効果によって漸近的自由性がなりたつ. RHIC建設中の時期に書かれている.

飛行機はなぜ飛ぶか?

翼から空気に下向きの運動量が移動する.進行方向に垂直な方向に運動量を伝えるには,渦によるのが効率的である. 仰角をつけると,空気の流れが翼の下側にあたって揚力が生じる,という説が正しいならば,飛行機は助走がある速度に達した時に離陸するだろう…

Poynting ベクトル

Poynting ベクトル E×H を面積分すると,単位時間にその面を横断する電磁場のエネルギーが得られる. D×B = c-2 E×H を領域上で3重積分すると,その領域における電磁場の運動量が得られる. 電流がないとき,静電場と静磁場による Poynting ベクトルは,閉曲…

松田 卓也『間違いだらけの物理学』学研 (2014)

電池のエネルギーはどこを通って電球に達するのか?という話がおもしろかった.Poynting ベクトルは重要だ. 潮汐力について. 地球静止系で考えればよく,月の公転とともに回転する座標系は要らない. 月による重力は,(1) 月の中心に向かい,(2) 月に近い…

渡辺 靖志『素粒子物理入門―基本概念から最先端まで』培風館 (2002)

光速の値が間違っている. メートルの定義について,メートル原器と光速の間に,クリプトン86のスペクトルによる時代があったことが書かれていない.

Arthur Stanley Eddington と Georges-Henri Lemaître

Eddington はクエーカー,Lemaître はカトリック. Eddington はイギリス人,Lemaître はベルギー人. 第一次世界大戦において,Eddington は良心的兵役拒否者,Lemaître は志願して陸軍に従軍. Lemaître は1920年,Charles Jean de la Vallée-Poussin (18…

原子核

質量数8の安定した核種は存在しない. Fe56 と Si28 はもっとも安定した核種.

放射線の歴史2

1905年,Albert Einstein の光量子仮説,特殊相対論.1906年,Theodore Lyman が Lyman 系列を観測.1907年,Albert Einstein の等式: E=mc2.1908年,Friedrich Paschen が Paschen 系列を観測.1908年,Ernest Rutherford が,アルファ線がヘリウム原子核…

Compton 効果から相対論へ

Planck 定数を ,光速を ,電子の質量を とする. X線を物質に入射するとき,入射X線,散乱X線の波長を ,散乱角を とすると, X線が運動量0の電子に与えた運動量,エネルギーを とすると, したがって,静止している電子のエネルギーは ,運動量 の電子のエ…

山田勝美・森田正人・藤井昭彦『ベータ崩壊と弱い相互作用』培風館 (1974)

isbn:9784563024154

万有引力

地球や太陽だけでなく,すべての物体が重力を及ぼしているという発想は衝撃的だったろう. 作用・反作用の法則も,力の概念を大きく変えた. 万有引力の法則と作用・反作用の法則は,どちらが先だったのだろう?

慣性の法則

それまで,運動の代表例は静止する地球・地球に落下する物体・地球の周りを円運動する天体だったのを,Galileo は,運動の基本形態は等速直線運動であり,等速直線運動どうしは対等であるとした. そう考えたのは,光の直進性が念頭にあったのではないか.Ga…

サットン『ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅』丸善出版 (2012)

和田正信『放射の物理 』共立出版 (1982)

光電効果・Compton 散乱・電子陽電子対生成を並べる.

Hamilton 方程式

エネルギーを位置と運動量であらわす式 に対し,運動方程式は エネルギーを位置と運動量であらわす式 が与えられているとき,運動方程式を で定め,これを Hamilton 方程式 という. H が によらない場合,Hamilton 方程式の解に対し, H が t によらない場…

de Broglie 波から相対論へ

de Broglie 波 を速度 の観測者から見る.速度 の観測者から見た時刻・位置・エネルギー・運動量を とし, とすると, より, Newton 力学においては,質量 の自由粒子のエネルギーと運動量の間の関係式は, 速度 の観測者から見たエネルギーは, 関係式 は…

相対論的因果律・ゲージ不変性・Lorentz 力

Lorentz 力のポテンシャルは速度について1次式. 速度について1次式であるポテンシャルの全体は,ゲージ変換( を加えること)で不変. ゲージ不変性は相対論的因果律からの要請.

陽電子からベクトル解析へ

物理学科のベクトル解析の授業の導入部,陽電子 → 相対論 → 電磁気 → ベクトル解析という順で動機づけをおこなうという構想はどうだろう.

原子核の密度

原子核の密度は 1015 g/cm3 のオーダー.質量数によらない(飽和性). 核力の到達距離より核子間の距離がやや大きい.原子核は低密度であると言われるのにまず驚く. 核子の平均自由行程は原子核の直径程度. 原子核内の核子の速度は光速の6分の1程度.速い…

陽電子から相対論へ

相対論の話を陽電子から始めるというのはどうだろう.

ニュートリノ・中性子・陽電子・パイ中間子・ミュー粒子

1931年,Wolfgang Ernst Pauli のニュートリノ仮説. 1932年,James Chadwick が中性子を発見. 1932年,Carl David Anderson が陽電子を発見. 1935年,湯川秀樹の中間子仮説. 1937年,Carl David Anderson と Seth Henry Neddermeyer がミュー粒子を発見…

八木浩輔『原子核物理学』朝倉書店 (1971)

鷲見 (1997) を読んだら次に読む本.http://d.hatena.ne.jp/yoshitake-h/20140828#p2 古い本なので『μ 中間子』という用語が使われていたりもするが,諸現象が量子力学の基本にのっとって説明されていて,物理の勉強になる. 2体問題がくわしい. Bethe-Mor…

Debye 長としての Planck 長

プラズマは,Debye 長より大きいスケールでは電気的に中性であり,小さいスケールでは電離していてかつ十分多い粒子を含む. プラズマは,プラズマ振動の周期より大きい時間スケールで考える. 最初に実験室でプラズマを実現したのが,1835年頃の Faraday の…

鷲見義雄『原子核物理入門』裳華房 (1997)

基本概念が簡潔に説明されていて読みやすい.