熱力学と圏(1)

加法群 は,対象が1つである圏 を定める.
この圏に乗法群

により作用する.
を, で定義する.
この圏に乗法群

により作用する.
このとき 同変な関手 が定まる.

設定 圏 および全単射 に対し, の作用

および 同変な関手 を考える.
と同じ対象をもつ 不変な部分圏で,これらが を生成する.
ならば,
ならば,
用語 圏  の対象を平衡状態,射を過程,関手 を仕事とよぶ. の射をそれぞれ等温過程,断熱過程,そのうち可逆なものをそれぞれ等温準静過程,断熱準静過程とよぶ.可逆なものを射とする の部分圏を  と書く.
を系とよぶ.

仮定 平衡状態 から への等温過程が存在するなら, から への等温準静過程が存在する.
仮定(Kelvin の原理) 任意の平衡状態 および等温過程 に対し,
定理 関手 があって をみたす.
写像 を自由エネルギーという.

仮定 平衡状態 に対し,写像 は定値.
定理 関手 があって をみたす.
写像 を内部エネルギーという.
定義 過程 に対し,吸熱量を によって定義する.

仮定  ならば, であり,任意の に対し,