Dirichlet の算術級数定理(6)
6.
目標は,
定理5.5 に対し,
を示すことである.そのために, を複素関数として考える.
補題6.1
複素平面上の開集合 上の正則関数列 が, に広義一様収束するとする.
(1) は 上正則.
(2) は に広義一様収束する.
証明
(1) 閉円板 の内点 に対し,Cauchy の積分公式より,
は広義一様収束なので, は連続で,
したがって, は の内部で正則.
(2)
より.//
証明
としてよい.
仮定より, は収束する.
よって とおくと,
に対し,自然数 があって, ならば
よって に対し,
とおくと, のとき,
を固定する.
において, に対し,
したがって, は において一様収束する.//
系6.3
(1) は 上の正則関数である.
(2) は 上の正則関数である.
命題6.4 は, 上の正則関数に延長される.
証明
とおく.
とおくと, で正則.
に対し,
一方, のとき,
したがって,
よって,
したがって, で
は広義一様収束し,正則関数をあたえる.//
証明
としてよい.
が収束するような があればよい.
を のまわりで Taylor 展開するとき,収束半径は1より大きいので,
があって,十分大きい に対し,
補題6.1(2)より,
に対し,
について和をとって,
が有界であることがわかる.正項級数なのでこれは収束する.//
定理5.5の証明
ある指標 に対し だったとすると,
は 上の正則関数.
に対し,
とおく.
とおくと,
よって命題6.4より,
は 上の正則関数に延長される.
したがって, は 上の正則関数に延長される.
一方, とたがいに素な自然数 に対し, の位数を とし,
とおく.
命題4.9より.
ここで は非負整数.
よって補題6.5より, は で収束する.
とすると, も非負整数で,.
こちらは のとき発散する
このことは, が で収束することに反する.//