Dirichlet の算術級数定理(5)
5.
定義5.1
自然数 に対し, で次をみたすものを, を法とする Dirichlet 指標と言う.
(1)
(2)
(3)
を法とする Dirichlet 指標 は 有限 Abel 群 の指標と自然に1対1に対応している.
を法とする Dirichlet 指標全体の集合も と書くことにする.
その位数を とする.
定義5.2
を法とする Dirichlet 指標 に対し,
とおく. 系1.2より,これは で収束する.
命題5.3
のとき, は で広義一様収束する.
証明
命題4.2(2)より, は有界.
とすると,
これは に対し, で一様収束.
したがって は Cauchy 列で, は で一様収束.//
命題5.4 に対し,
のときは で成立する.
証明 素因数分解の存在と一意性より.//
算術級数定理の証明においては,次の定理が本質的である.証明は第6節で与える.
定理5.5 に対し,
Dirichlet 指標 に対し,
とおく.命題1.6,補題4.3(1)より,これは で収束する.
補題5.6
に対し,
証明
命題4.8より,
//
証明
(1)
を割り切る素数は有限個.命題1.5(2)より結論がしたがう.
(2) に対し,
のとき,定理5.5より左辺は有界,命題1.5(2) の証明と同様に右辺第2項は有界.//
補題5.6,5.7より,次がしたがう.
定理5.8
(1)
(2) (算術級数定理) は無限集合.
(3)
- (3) は直接的に示すことができるし,その方が普通ではあるが.