熱力学速成コース
- 熱力学における基本的な量は,温度 と 熱量 である.
- 温度は系の状態に対して決まる.すなわち状態量である.ただし,系の内部はつねに熱平衡にあるとする.
- 熱量は,系の状態の連続的変化すなわち過程に対して決まる.
- 熱量は,過程によって系が得る熱的なエネルギーである.
エネルギー保存則より,これは外部が失う熱的エネルギーに等しい. - 一般に熱量は経路に依存し,最初と最後の状態だけでは決まらない.
すなわち,熱量は状態量の変化として表すことができない. - その代わりに,過程の途中の任意の部分に対して,系と外部の間の熱量の出入りがないような過程を考える.これを 断熱過程 と言う.
- そして,断熱過程において一定になる状態量 を考える.
- 任意の2つの状態に対し,その間を等温過程(途中で温度が一定)と断熱過程の合成によって結ぶことができる.
状態は によって指定される.
- 始状態と終状態が等しい過程であって,次の4つの過程の合成であるものを Carnot サイクル と言う.
- (1) 断熱圧縮.温度が上がる.
- (2) 等温吸熱膨張.温度 ,熱量
- (3) 断熱膨張.温度が下がる.
- (4) 等温発熱圧縮.温度 ,熱量
- ただし,
- 温度を,
となるように定義する.このとき,
- そこで, が等温過程 (2) で だけ変化し,等温過程 (4) で だけ変化するように,状態量 を定義する.
- 状態量 を エントロピー と言う.
- 一般の過程 に対し,