G. N. Watson, A Treatise on the Theory of Bessel Functions

A Treatise on the Theory of Bessel Functions (Cambridge Mathematical Library)
本文の前に第二マカバイ記 2:30--31 の引用が記されている.その前後は以下のようになっている(新共同訳).

以下のことはキレネ人ヤソンが五巻の著作に明記していることである.(中略)以上の五巻の事柄を,我々は一巻に要約したい.それというのもヤソンの書は,物語の展開のみに興味を持つ人には,数字が多すぎ,資料が煩雑すぎると思われるからである.物語の筋を追ってみたい人を夢中にさせ,暗唱したい人にはそれを容易にさせ,ともかくこの本を手にするすべての人に役立つように努めたい.要約を自らに課してみたものの,これは心を削り,身をそぐ仕事であって,容易なことではない.ちょうど,他人のために宴会の裏方に徹するときの苦労のように,多くの人を喜ばすためには,進んでこの労苦を我慢しよう.事細かな著述は著者ヤソンに譲り,我々は要約を記すことに徹しよう.というのも,家を新築する際,棟梁は構造全体を配慮しさえすればよいが,装飾や塗装を担当する者は,その部分がうまく調和しているかどうか気を配らねばならないからだ.我々の場合もまさしく同じだ.細部に立ち至り,あれこれと論議,詮索するのは,物語の原著者の仕事で,他方,文章を簡潔にし,煩雑なことに立ち入らないのは,我々要約者の仕事として当然ではないか.前置きはこれぐらいにして話を始めることにしよう.いつまでも物語の入り口にとどまって,本題をおろそかにするのは愚かなことである.