F. ファン・ステンベルゲン「トマス哲学入門」白水社 (1990)

isbn:9784560057049
トマスが「物体の場所とはその表面のことである」という議論をしているらしく,その理由は,物体は動いてよそに行ってしまうし,かと言って物体の占めている空間の方は実体ではないし,ということらしい.(トマスはアリストテレスに従って真空を否定しているので,物体の外側は別の何かが充満していると考えていて,だから物体の外側は勿論その物体の場所とは言えまい.)
しかしそれだけでなく,habitus が「住むこと」であり「着ること」である,ということもトマスの念頭にはあったのではないかと想像する.
トマスは人間は精神界と物質界の境界にあるとしていた.ということは境界を何より重要視していたのだろう.