HOMFLY多項式

  • HOMFLY多項式の構成は,有向絡み目図式の交点数Nに関して帰納的に行われる.
  • Reidemesiter move I (RI) に対する不変性とスケイン関係式より,成分を交差なく追加するときのHOMFLY多項式の変化が決まる.これを泡公式R0とよぶ.R0は交点数が1つ多い図式に対するRIによって示されるので,交点数に関する帰納法のときには,RI, RII, RIII の他にR0も考える.
  • 交点数Nの図式に対し,交差を取り替えたものも同時に考えると,全部で 2N 個の図式がある.それらはスケイン関係式で関係づけられている.
  • 図式のr個の成分の辺に1つずつ基点 P1, ... , Pr を取る.
  • 基点の順番にしたがって,各基点から出発して向きにしたがって各成分を1周し,次の成分の基点に移ることで,すべての上交点,下交点に対して全順序が定まる.上交点<下交点となるとき,基点つき図式は単調であると言う.
  • 基点に関して単調な図式は,自明な絡み目である.
  • 基点に関して単調な図式のHOMFLY多項式を,自明な絡み目の図式と同じと定義する.
  • スケイン関係式により,単調な図式の交差を取り替えたもののHOMFLY多項式が定まる.
  • これが,基点の取り方によらないこと,R0,RI,RII,RIII をみたすことを示す.いずれも,まず単調な図式に対して示し,スケイン関係式による帰納法により,単調な図式の交差を取り替えたものに対して示す.