計算化学

電子のスピン.ゲージ体操とスピン体操.

  • 電子は太さ0長さ0の棒磁石(磁気双極子)である.それの強さをあらわす磁気モーメント・ベクトルの大きさは一定である.これを1とする.
  • 電子の磁気モーメントのある方向の成分を測る実験をする.
  • 電子の磁気モーメントはいろいろな方向を向いているはずだから,磁気モーメントの成分は −1 から +1 までの任意の値をとると予想される.
  • ところが実験すると,磁気モーメントの成分は +1 か −1 かの二択だった.
  • 長さ1の空間ベクトル e, e' のなす角を θ とする.
  • 磁気モーメントが e' である電子の磁気モーメントの e 成分を測る実験をすると,結果は離散的かつランダムで,磁気モーメントの e 成分は確率 p で +1,確率 1−p で −1 となる.
  • このとき期待値 (+1)p + (−1)(1−p) が e' の e 成分 cos θ に一致する.
  • よって p = (1+cos θ)/ 2 = cos2(θ/2)
  • 電子の磁気モーメントが e' である状態は, +e である状態と −e である状態の重ね合わせと考える.
  • 状態をベクトル,状態の重ね合わせをベクトルの1次結合で表す.
  • 電子の磁気モーメントが e' である状態は, +e である状態 |↑) と −e である状態 |↓) の1次結合 cos(θ/2) |↑) + sin(θ/2) |↓) で表される.
  • 係数の2乗が測定結果の確率を表す.すなわち磁気モーメントの e 成分は確率 cos2(θ/2) で +1,確率 sin2(θ/2) で −1 となる.
  • 電子の状態 cos(θ/2) |↑) + sin(θ/2) |↓) が1回転して元にもどると,電子の磁気モーメントの向きは2回転する.
  • 片方の端を固定した帯につながっている球は,2回転で元にもどる.