川合康「源平合戦の虚像を剥ぐ」講談社学術文庫 (2010)

源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)

  • あとがきによると著者の妻は馬術部で,そのせいなのか馬の話が詳しいのがおもしろい.日本で牡馬の去勢技術が普及するのは日露戦争中のことだそうだ.
  • 最近,茂木健一郎が東大入試のペーパーテストを激しく批判しているのは,官僚システムは古代の宦官システムの近代版であって受験勉強は一種の去勢に相当するというところにポイントがあるではないか.
  • 日本がなぜ宦官システムに続く科挙システムを取り入れなかったのかということは,日本に宦官システムがなかったことに関係しているのだろう.
  • 日本は宦官-科挙システムを取り入れず,平清盛からマッカーサーまで軍事政権が続いたが,戦後,軍人が立身出世コースではなくなって,はじめて本格的に宦官-科挙システムに移行した.