小谷野敦「現代文学論争」筑摩選書 (2010)

「君と世界の戦いでは，世界に支援せよ」論争 (1985) というものがあったのを知った．加藤典洋による島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲」福武文庫版解説に端を発したもので，標題はカフカの断章にあることばだそうだ．
当の島田雅彦はどんな感想をもったのだろう．彼が作詞した 1998 年NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲「また，あした」は「世界と僕はたたかっている　きっと世界が勝つだろう　僕に味方はいるのだろうか」ではじまるが，この論争をふまえたものだったのだろうか．
なお，そのときの金賞は安積女子（現・安積黎明），自由曲は「ともにー……」．今年，安積黎明はこの自由曲で４年ぶりの金賞．別の年に歌った自由曲を同じ高校がふたたび歌った例としては，2004 年，2009 年の杉並学院「日向木挽唄」がある．2004 年のときは女声，入賞を逃している．この年の中学の部，初出場で金賞にかがやいた真栄中が同じ曲を自由曲で歌ったことが影響したのだろうか．2009 年は混声で金賞．