線形代数学2

m×n 行列 A に対し,連立1次方程式 Ax = 0 の解空間 W の基底と次元,および A の列ベクトルの生成する Rm の部分空間 V の基底と次元を求める方法と,dim W = n − rank A, dim V = rank A の証明.
行列の列ベクトルで,自分より左にある列ベクトルの1次結合で書けないものを,主要な列 と名づけてみた.

  • 各行の 0 でない成分のうち,一番左にあるものを 主成分 とよぶ.
  • 次の条件をみたす行列を,簡約な行列(階段行列)という.
    • 第 j 列まで 0 である行より下にある行は,少なくとも第 j 列まで 0.
    • 各行の主成分は 1 で,その列の他の成分は 0.
  • 第 i 行以下が 0 ベクトルでない列ベクトルは,
    第 i 行以下のいれかえ,第 i 行のスカラー倍,第 i 行のスカラー倍を他の行に加える,
    という行基本変形によって, ei にできる.
    これらの行基本変形は,第 i 行以下が 0 ベクトルである列ベクトルを変えない.
  • 任意の行列は,行基本変形によって簡約にできる.これを簡約化という.
  • 簡約な行列に対し,各行の主成分をふくむ列は,自分より左にある列ベクトルの1次結合で書けない.それ以外の列は書ける.
  • 行列の列ベクトルで,自分より左にある列ベクトルの1次結合で書けないものを,主要な列 と名づける.
  • 第何列が主要な列になるかは行基本変形で不変.
  • 行列の 階数 とは,主要な列の個数のことと定義する.
  • 簡約な行列の階数は,0 ベクトルでない行の個数に等しい.
  • 簡約な行列であることは,主要な列が左から順に e1, ..., er であることに同値.
  • 主要な列は1次独立.
  • 簡約な行列の主要でない列の各成分は,その列を主要な列の1次結合で書いたときの係数.
  • 任意の行列に対し,簡約化は一意的.