線形代数学1

階段行列と階数.

定義.次の条件をみたす行列を 階段行列(簡約な行列)という:
(1) 上の r 行は0ベクトルでなく,それより下は0ベクトル.
(2) 上の r 行の各行の0でない1番左の成分の位置は,下のものほど右にある.
すなわち,1\leq i \leq r に対し,第i 行の0でない1番左の成分が第 k_i 列にあるとすると,
[tex:k_1階数 という.
行列 A基本変形により階段行列 B に直すことができるとき,A の階数とは B の階数のこと.

定理.任意の行列は,次の操作を i=1,\,2,\,\dots,\,r の順にほどこすことにより,階段行列に直すことができる.
(1) 第 i 行以下が0ベクトルでない列のうち,1番左のものを,基本変形によって \mathbb{e}_i に直す.
ただし,それより左の列は変えない.
(2) 第 r 行より下の成分がすべて0になるまで続ける.