線形代数学1

逆行列

1.正方行列 A が行 基本変形によって単位行列 E に変形できると仮定する.
[A E] が [E P] に変形されるとき,AX = E と EX = P が同値なので,AP = E.
一方,同じ仮定の下,「Ax = 0 ならば x = Ex = 0」がいえるので,A(PA) = (AP)A = EA = A = AE より PA = E.
したがって,A の逆行列が存在する.

2.A が行 基本変形によって E に変形できないと仮定する.
A に行 基本変形をほどこして,左から順に E と同じにしていく.
第 j 列ではじめて E と同じにできなくなったとすると,そのときの第 j 列の第 j 行以下は 0.
よって A の第 j 列はそれより左の列ベクトルの1次結合で書ける.
したがって, A の逆行列は存在しない.