志村五郎「鳥のように」筑摩書房 (2010)

鳥のように

講道館柔道の創始者嘉納治五郎の話である.ある冬の寒い日に彼を訪れた人の体験談で,スパルタ式の待遇を予想していたところそうではなかった.椅子に坐らされて,足あぶりがあった.その上膝かけの毛布を出されて,暖かく気持よく過したというのである.
私は自分が寒がりであるから,こんな話を聞くと「嘉納治五郎っていい人だなあ」と単純に思ってしまう.