線形代数学2

線形写像

比例定数の一般化としての行列と導関数
数学は量と量の関係を記述する.
量と量の関係のうち,もっとも簡単なものは比例  である.
比例は 比例定数 によって決まる.
比例の一般化として次の2つの方向が考えられるが,そのとき比例定数に相当するものは何だろうか?

(1) ベクトルの比例
たとえば,ベクトル がベクトル に "比例する" とは,

のように, に比例する項の和で書けることとするのが自然であろう.
右辺を

と書くことにする.比例定数に相当するものが 行列

である.

(2) 関数
関数 に対して, の微小変化は の微小変化に比例すると考えられる.
比例定数に相当する

を, における 微分係数 という.微分係数 の関数と見なしたものが 導関数 である.

と書きなおすと, に比例する量 で近似している,と見ることができる.