関数論

級数

無限小数,たとえば が確定した意味をもっているとなぜいえるのだろうか?この問に対して3つの答がある.

(1) 等式 を,不等式の列

と解釈する.

(2) 数列 の極限と解釈する.

(3) 有限小数との大小が確定しているもの,ととらえる.

無限小数の3つの解釈は,実数の有限性のさまざまな表現,すなわち次の同値な条件に対応している.

(1) 区間縮小法:有界区間の減少列

をみたすとき,

となる実数 がただ1つ存在する.

(2a) 有界かつ単調な実数列は収束する.

(2b) コーシー列は収束する.

(3) 切断: の空でない部分集合 に対し, および,
ならば
をみたすとき,実数 があって,
かまたは

(2a) ⇒ (1): (1) の設定において,(2a) より, が存在して相等しい.
その値を とおくと,

(2b) ⇒ (2a): が増大列であってコーシー列でないとすると, および自然数

があって, が成り立ち,有界でないことがわかる.

(3) ⇒ (2b): コーシー列 に対し,

とその補集合が切断になるので,実数 が存在して,
または
このとき

(1) ⇒ (3): 切断 に対し,実数列 を,
または
が成り立つように選べる.有界区間の列 は (1) の仮定をみたすので,

となる実数 がただ1つ存在する.よって
かまたは