曲線の長さと線積分

多変数の微積分を教えていて,苦労するのは線積分のところだ.まず,線積分がどういう意味をもつ量を定義しているのかを,数学の中だけで説明するのが難しい.物理学の講義ならば「仕事という量が線積分であらわされる」という言い方ができるのだが.また,曲線の長さは数学の中で意味がはっきりしているが,線積分はこれと似てはいるものの別の概念なので,教えるときに混乱が生じてしまう.
そういえば,相対論的粒子のラグランジアンにおいて,重力場の項は(ローレンツ計量による)曲線の長さであり,ゲージ場の項は線積分である.統一場理論は,まず曲線の長さと線積分を統一しようという話になるわけだ.どちらも幾何学においてあまりに基本的なものとして定着しているので,今更どう統一したらいいのか見当もつかない.