テンソル

z が2つの量 x, y に比例するとき,定数 a があって,z=axy と書ける.この式を,「zxy という1つの量に比例する」と見ることもできる.量 xy は,2つの量 x, y に比例する量のうちもっとも基本的なものと言える.
この考察を,x, y, z がベクトルである場合に一般化するとどうなるかを考えるとき,あらわれるのがテンソルの概念である.
ベクトル空間 X, Y, Z に対し,双線型写像 X\times Y\to Z が,「2つの量に比例する量」をベクトルに一般化した概念である.このとき,ベクトル空間 X\otimes Y があって,双線型写像 X\times Y\to Z は双線型写像 X\times Y\to X\otimes Y線型写像 X\otimes Y\to Z の合成になる. このようにして,双線型写像 X\times Y\to Z は,線型写像 X\otimes Y\to Z と1対1対応する.これは,ベクトル空間 X\otimes Y が,Z に双線型写像 X\times Y\to Z 全体の集合に対応させる関手を表現しているということである.