「橋本治と内田樹」筑摩書房 (2008)

橋本治と内田樹

橋本 技術って,ある程度のところにいくと余分なことをしたくなるものだっていうことを,わかってない人ってとっても多いですよね.
内田 そうですね.
橋本 料理上手な料理好きの奥さんて必ず余分なことをしたがって,あるアイデアで,そのアイデアを人に言いたがるんだけど,必ず余分なんですよね.でも技のある人って,余分なところまでいってワンセットなんですよ.
内田 なるほど.
橋本 でもできない人って,「その余分はいらないから基本だけ教えてください」「必要最小限度の一番手っ取り早く簡単にできる方法だけ教えてください」って言うんだけど,それは絶対に技術と結びつかない.余分という開花の仕方をしないから,決して幸福にならないんですよ.