光なしの相対論
- 2次元時空において,慣性系の間の原点を保つ座標変換は,速度でパラメトライズされる に同型な の部分群になる.
- 相対性原理の要請により,これが にふくまれることがわかる.
- の1次元連結部分群の共役類は分類され,そのうち に同型なものはローレンツ変換群かガリレイ変換群である.
慣性系 K,K' に関する時空の1点の位置と時刻をそれぞれ とする.
K に関して等速直線運動する質点は K' に関しても等速直線運動する.
したがって,座標変換は,直線 を直線 にうつす.
また,たがいにまじわらない2直線は,たがいにまじわらない2直線にうつされる.
したがって,平行四辺形とその対角線は平行四辺形とその対角線にうつされる.
このことから,座標変換が1次式で書けることがわかる.
のとき であると仮定すると,座標変換は線型になる.
K' の位置の原点が K から見て速度 で動くとすると,
と書ける.
が共通にとれるのは,相対性原理による.
は速度 の関数である.
より,
よって,座標変換 をあらわす行列を とすると,
の行列式は1なので, ( は開区間)は に同型な, の部分群になる.
の1次元連結部分群は,リー環
の1次元部分ベクトル空間に対応する.
の随伴作用は行列式 を保ち,軌道は
原点,一葉双曲面
錐(頂点を除く)
二葉双曲面の連結成分
である.
したがって, の1次元部分ベクトル空間は, の随伴作用によって,
のいずれかにうつる.
対応する の部分群は,それぞれ である.
は と同型でないので, は最初の2つのいずれかと共役になる.
したがって, は,ある (1,1) 計量に関するローレンツ変換か,ガリレイ変換になる.
N. D. Mermin, Am. J. Phys. 55, 585 (1984).