阪大トポロジー・セミナーはヤマサキくん

セミナー後,コマツさんと廊下で立ち話.ササキ先生のこと,Fefferman が長年解けなかった問題をヒラチさんが解いたことなど.
ヤマサキくん,カズさんと「おためしや」「とり勝」.

カズさんは文系1年生向けの講義で,Buffon の針を題材に次のような話をしているそうだ.すばらしい.
(出典は,スタイン「数学ができる人はこう考える」白揚社 (2003) とのこと.)
数学ができる人はこう考える―実践=数学的思考法

平面上に間隔2で平行線が無数に引かれている.長さ1の針を平面上に落とすとき,針が平行線と交わる確率は?

普通は次のように考える.

針と平行線のなす角を \theta とすると,針が平行線と交わる確率は (\sin \theta)/2.
したがって,求める確率は,
\frac{\int_0^{\pi}\frac{\sin \theta}{2}d\theta}{\pi}=\frac{1}{\pi}.

しかしこれを,三角関数積分の公式などを使わず,常識(common sense, 共通感覚)をはたらかせることで求めることができる.どう考えるのか?

  • 針の長さを任意とし,針が平行線と交わる確率ではなく,針と平行線の交点数の期待値を考える.
    • 針の長さが2以下の場合は同じことである.
  • 針をいくつかに分割すると,針全体と平行線の交点数の期待値は,分割した各部分と平行線の交点数の期待値の和になるだろう.(加法性)
    • したがって,針と平行線の交点数の期待値は,針の長さに比例するだろう.
    • 折れ線を投げたとする.線分に分割して考えると,折れ線と平行線の交点数の期待値は,分割した各線分と平行線の交点数の期待値の和になるだろう.
    • したがって,折れ線を投げたときの平行線との交点数の期待値は,折れ線の長さに比例するだろう.
    • 極限を考えれば,曲線を投げたときの平行線との交点数の期待値は,曲線の長さに比例するだろう.
  • 半径1の円周を投げると,確率1で交点数は2である.円周の長さは 2\pi.
  • したがって,長さ1の針を投げると,平行線との交点数の期待値は 2/2\pi =1/\pi.