数学要論A
- 証明には選択公理を用いる.
- は順序集合で,任意の鎖が上界をもつとする.極大元が存在しないと仮定して矛盾を導く.
- 任意の鎖 に対し,仮定および選択公理により, の上界 を選んでおく.
- 鎖あるいは鎖の族に対し,それより大きい鎖をつくる方法として,つぎの2つがある.
- 包含関係について全順序である鎖の族 に対し, も鎖.
- 鎖 に対し, も鎖.
- を の鎖全体の集合とし,その部分集合で,空集合を元とし,上の2つの操作に関して閉じているものを考える.
すなわち, で次の3条件をみたすものを,塔とよぶ.- (a)
- (b) 包含関係について全順序である の部分集合 に対し,
- (c) ならば
- 塔は包含関係について全順序にならない.
もしなるとしたら,(b) より は包含関係に関する の最大元となり,(c) に矛盾する. - は塔.よって塔は存在する.
- すべての塔の交わり は塔,よってこれは最小の塔になる.
- が包含関係について全順序であることがいえれば矛盾が導かれる.
とおく. が塔であることを示せば, の最小性より .よって が全順序であることがいえる.- が塔であること の証明.
(a) (b) をみたすことは容易.(c) を示す.
に対し,
とおく.
に注意.
が塔であることを示せば, の最小性より となり,
ゆえに
は (c) をみたす. - が塔であること の証明.
(a) (b) をみたすことは容易.(c) を示す.
に対し, または- ならば, より,
- ならば, より, または
- ならば
- ならば
ゆえに, または
いずれの場合も //