数学要論A

2.2 可算集合
数直線上の互いに交わらない開区間の族がたかだか可算族であることを示すのに,各開区間から有理数を選んで,有理数全体が可算であることに帰着させたのだが,説明してかえってわかりにくくなるといけないと思って選択公理にはあえて触れなかったところ,講義終了後,「無限個の開区間からそれぞれ有理数を選ぶことができるというのは自明なことではないのではないか」という質問を受けた.鋭い.

教科書(松村「集合論入門」)にあった実数の非可算性の証明.
相異なる実数の列 x_1, x_2, x_3, \dots に対し,
a_k,b_k\quad (k\in \mathbb{N}) を次のように定義する.
(1) x_1,x_2 のうち小さい方を a_1,大きい方を b_1 とする.
(2) a_1,b_1,\dots,a_{k-1},b_{k-1} まで定義されたとする.
\{x_n\} の中で,開区間 (a_{k-1},b_{k-1}) に含まれる最初の2つのうち,小さい方を a_k,大きい方を b_k とする.
このとき,x_n\in [a_k,b_k] ならば,n>2k-2.
\therefore\quad\bigcap_k[a_k,b_k]\cap \{x_n\mid n\in \mathbb{N}\}=\phi.
区間縮小法より,
\bigcap_k[a_k,b_k]\neq \phi.\quad\therefore\quad\{x_n\mid n\in \mathbb{N}\}\neq \mathbb{R}.