第77回NHK全国学校音楽コンクール 中学校の部

この5年で最高のレベルだったと思う.視聴し終わったら放心状態になってしまった.
近年中学校の部のレベル向上がいちじるしい.その最大の貢献者である郡山二中,真栄中の演奏が終わった時点では,やはりこの2校は格が違うわい,と例年と同じようなことを思ったのだが…
次の二島中の演奏で空気が一変した.今年度で定年を迎えられるという吉田和子先生が初出場を果たしたという話に感動.課題曲に真っ向から挑戦するテーマの自由曲の演奏には何かが宿っていたかのようだった.会場も息を飲んだのではないか.
続いて今回一番楽しみにしていた,フカミズさん率いる清泉女学院中.個性あふれるメンバーたちを一つにする彼女のすぐれたキャプテンシーには感心するほかない.アルトの中心にいた子のリーダーシップもなかなかのものとお見受けする.課題曲は振付のせいだけでなくここに一番魅せられた.ミュージカルできたえた表現力によるものなのだろうか.自由曲も無伴奏6部はすごいと思う.
少し休みがあって松戸一中.ブロックのときの演奏のできには生徒たち自身不満があったみたいだったが,全国に向けて修正できたようだ.自由曲2曲目の振付がブロックのときより進化していて楽しい.
島根大附中はなんといっても茨木のり子の有名な詩に松下耕が曲をつけた委嘱作品の自由曲が圧巻.
今回おそらくもっとも注目を集めていたのは初出場の郡山五中だろう.学校としては初だが,昨年まで二中にいらして全国2連覇を果たしている小針先生が,1年生主体のチームを率いて早くもやってきたのだ.美しい演奏だった.男子が1人いて,自由曲ではセンターの立ち位置.普通女声の中に男子1名といった場合,端の方にいることが多いものだが.この子は昨年,大島小で全国コンクールにでている.
最後の三重大附中もうまかった.母校の神沢中もここに負けたのならしかたがない.
審査を待つ間は,例年になく重い空気.どこが入賞するのか全くわからない.郡山二中といえども自信はなかったのではないだろうか.ゲストの大塚愛も,会場のあまりの緊張感におどろいていたように見受けられた.
結果は銅賞・真栄,島根大附,銀賞・松戸一,金賞・郡山二.郡山二中は,もし金賞銀賞をのがしていたら,来年は一枠になり,五中が間違いなく今年より格段に強力なライバルになることが予想されるので,全国出場があやうくなるところだったかもしれない.あんなにすごいのに.